千代田の会員さんは、人生のベテランが多くいらっしゃいますので、普通のことではそれほど驚くことはないと思います。でもスクエアダンスは別。ベテランでも予期していないコールがかかると、びっくりし間違えることがあります。そこがおもしろい、ということは、皆さんサプライズ(驚き、びっくり)に期待しているのでしょうか。
赤ちゃんは生まれたときから(正確には子宮の中にいるときから)周囲の刺激を受けて成長します。周りの景色、音、におい、手などの触覚、すべてが新しく、サプライズの連続です。赤ちゃんはこのような刺激を適度に受けることにより、脳-神経-身体全体へと発育していくことになります。赤ちゃんだけでなく、ご両親や家族の方も最近は生まれる前から超音波などで赤ちゃんの写真を見て、サプライズ!されているようです。
このように、適度の刺激は人間の発育にはなくてはならないもので、刺激を与えなければ、人格形成などに重大な欠陥を生じるとされています。赤ちゃんには絶えず話しかけ、だっこしたりあやしたりすることが大切です。
趣味の世界でもこれは同じで、いつも同じことしかやらないという趣味は、必ず飽きがきます。スクエアダンスでは、コールを一通り覚えた後は躍り込みに入りますが、この時にコーラーさんは本領発揮。講習では教わったこともないポジションからコールをかけたり(オーシャンウェーブからのスクエアスルーなど)、速いテンポでたたみかけるようなコールを連発したりしてきます。もちろん、ビギナーさんでは最初のうちは太刀打ちできず、アッという間に壊れてしまうこととなります。例会では、コーラーさんはもう一度(どちらかというとゆっくり)コールしてくれますので、大抵はここでうまくいきますが、これではおもしろくありません。やはり最初に一発で決める(できれば他のセットが壊れていることを望む?)のが醍醐味というものでしょう。この時、私たちの身体ではどのようなことが起こっているのでしょうか。
耳(スイングスルー)→大脳(動作を思い出す、と同時にこの時、手からの信号をキャッチ)、 手(レフトハンドだよ)→大脳(おっと、レフトだった。スイングスルーは右からだから、間違えないように指示しなくっちゃ)→右手、左手、 耳(リーダーズ・ラン)→大脳(もう次のコールが来たぞ、えーっとリーダーズは外を向いている方だから、自分だっけ、それとも隣だっけ)→首(きょろきょろと動かす)→目(あっ、自分だった)→大脳(ランするのは自分ね、それっ、左にラン)→足(動きますね)、 耳(リバース・フラッターフィール)→大脳(えーっ、リバースだって?今は普通のポジションだっけ、それともサッシェだっけ)→手と首(誰と手を取っているか確認、首をきょろきょろ)・・・。
結構大変なようです。もちろん、躍り込んでいるベテランダンサーは、今上に書いたような判断を一瞬のうちに、しかも間違えずにできますが、ビギナーは大変。冷や汗をかき、ベテランに誘導されて何とか追いつこうとしますが、このような複雑な動きをスピードに乗ってかけられると、大抵はセットが壊れてしまいますね。でもこの刺激、こんなところでこんなコールというサプライズがスクエアダンスをますますおもしろくしているのだと思います。人生も後半になればサプライズも減ってきますが、千代田の例会に出ていれば正にサプライズの連続。脳-神経系にとってこれほど素晴らしい若返りはないと思いますよ。